おっさんの外部記憶装置

40代おじさんのブログ

ダニング=クルーガー効果

どうも、おっさんです。

 

最近知ったのですが、タイトルの「ダニング=クルーガー効果」という心理現象が、1999年にコーネル大学のデイビット・ダニングとジャスティン・クルーガーによって定義されたそうです。

 

内容は、簡単に言うと「自分の能力が不足していることに気付かず、自身を過大評価してしまう」という心理現象のことです。

 

これを見た時に「え?これってもっと昔から言われていることだよね?1999年?」と思って調べてみると、実験によって定義されたのが1999年というだけで、この現象自体は昔から言われているということも合わせて書かれていました。

 

motifyhr.jp

この方とかも孔子ソクラテスシェイクスピアも既に同じようなことを言っていると書いていますね。

 

私も

nicolarossi.hatenablog.com

この記事で老子のことばで解説しています。

 

つまり、1999年に実験によって示されたものの、大昔から言われていることでそれ自体は知っている人は知っていることだということです。

 

「自分の能力が不足していることに気付かず、自身を過大評価してしまう」

 

というのは、私がこのブログで何度も書いていることで、例えば「初心者なのにロードバイクで100kmを走ろうとする」みたいなことです。初心者でなくても自分の実力以上のことをしようとする人は多いなと感じているので、能力が低い人だけということではなくて大なり小なり一般的な心理現象だとも言えるでしょう。

 

何故、過大評価をしてしまうのか?というところなんですが、ダニング=クルーガー効果では「メタ認知(客観視)」ができていないからとしています。

 

その通りだと思うのですが、もっと踏み込むとメタ認知ができない心理作用が働いているからだということになります。その心理作用を解き明かさないと解決できませんよね?

 

私が書いてきたのは「承認欲求」が原因だということです。ロードバイクでは100km以上を難なく走ることが初心者にとっては「凄いこと」だと思われていますし、初心者でなくても100km程度なら問題なく走れて当たり前だと思われています。

 

でも、それって現実はその人の能力によって変わるものです。

能力によって走れる距離は違ってきます。

 

それを無意識に無視しているからメタ認知ができないわけです。

これを心理的な盲点と言っています。

 

では、どうしてそれを無意識に無視してしまうのか?みんなができていることを自分ができていない状態だと「困る」からですよ。困るので、実際にできていないことでも「できている(気がする)」と錯覚してしまうんです。

 

nicolarossi.hatenablog.com

この記事で私が書いたことが超わかりやすい例なのですが、「こんなのよくあることでことさら取り上げることでもない」というコメントをいただきました。確かにそうですよね、こういうことはよくあることですし問題と思わない人はたくさんいるんでしょう。

 

それこそが盲点ということなんですが。

 

上下関係に執着している状態というのは、自分が自分の想定している立ち位置にいないと困る(不安)ので、現実の立ち位置を無視して想定している立ち位置に心理的に戻ろうとしているということです。

 

ダニングとクルーガーは2012年にも「なぜ能力の低い人間は自身を素晴らしいと思い込むのか」という調査をしていて、能力の低い人間には以下のような特徴があるとしています。

 

・自身の能力が不足していることを認識できない

・自身の能力の不十分さの程度を認識できない

・他者の能力の高さを正確に推定できない

・その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる

 

私が書いた上の記事の例に全て当てはまりますよね?

 

「自身の能力の不足や不十分さの程度を認識できない」というのは、目的地への経路を把握していないのにファストトラベルで帰ってしまうという部分に出ていて、把握していないのであればどこなのかまず確認するという手順があって、それからファストトラベルなり順路なりで帰ります。しかし、把握していない知らない状態でファストトラベルで帰ってしまいます。(知っている気がしているだけ)

 

「他者の能力の高さを正確に推定できない」というのも、友人が経路を把握していて実際に完璧な順路案内をしているにもかかわらず、間違った案内だと思い込んでいるという部分に当てはまります。

 

そして、その完璧な順路案内に従った(これは訓練と言えます)先に目的地があったとわかった瞬間に「自身の能力の欠如を認識した」というわけです。この場合の能力とは単純に「経路の把握」という部分です。

 

これはゲームでの話なので、「目的地がわかる」という超単純な事柄での出来事ですが、実際に我々が認識している世界ではもっと複雑な構造をしているわけですし、答えがパッとわかるようなこともないですよね?

 

だから、こういう一見よくあるような失敗が実は重要な点であって、そこを見逃してしまうと問題が解決できなくなってしまうわけです。

 

他の例をあげると、某通販サイトの自転車のホイールのレビューでこういうのがありました。

 

「新品を購入したがリム横に小さな穴が開いていて、チューブバルブを通す穴もセンターからずれていた。明らかに”不良品”だけど、すぐに使いたかったから返品せずに使っている」

 

みたいなことが書かれていました。

これ知っている人が見たら不良品じゃないことがわかるのですが、この方はこれを不良品だと思っているわけです。

 

リム横の小さな穴は水抜きの穴で、バルブの穴がセンターからずれているというのは、オフセットリムなのでセンターからずれているように見えるだけ(実際にずれているのはリムの頂点のほう)で不良品ではありません。

 

この方は”知らない”からこれを不良品だと思っているように見えますが、実は「知っている」と錯覚しているから不良品だと思い込んでいるんですよ。

 

どういうことかというと、「リム横に穴は開いていない」「バルブ穴はリムの頂点にある」という思い込みがあり、それを”知っている”と認識しているので、それ以外の状態を「間違っている」と思ってしまうわけです。

 

本当に知らない人はこれとは違う行動をします。

 

リム横に穴が開いているのを発見すれば「この穴にはどういう意味があるのだろう?」と考え、バルブ穴がリムの頂点からずれているのを発見すれば「これは穴がずれているのではなくリムが偏っている」ということに気付き、「リムが偏っているのはどういう意味なんだろう?」と考えます。

 

これが「無知の知」ということであって、「知らないことを知っている」という意味です。知らないことを知っているというのは「自分は知らない」と思っているということではなくて、「知ろうとする」っていう単純な行動のことなんですね。

 

このホイールレビューの話は簡単なことなので理解が難しくないですが、上でも書いたように現実の世界は複雑な構造をしているので難しくなってきます。

 

 

ダニング=クルーガー効果について書いてきましたが、これは1999年に定義されたというだけで大昔から言われている心理現象のことです。

 

だとすると、何故このことを実験もしてないのに知っている人が昔から”たくさん”いたんでしょうね?(まぁ、経験則でわかるようなことなんですが笑)

 

その辺りもまた書きたいと思います。