おっさんの外部記憶装置

40代おじさんのブログ

トレーニングとは何なのか

どうも、おっさんです。

 

前回の記事の

nicolarossi.hatenablog.com

続き。

 

ロードバイクで速く走れるようになるという状態とは「安定性がある」状態だと書きました。ロードバイクを走らせるうえでの全体的な安定性なんですが、ロードバイクにおいての最重要事項は「心肺能力」なので、主にその心肺の機能の安定性がある状態だということになります。

 

なので、その心肺機能の安定性を上げるということが「心肺能力」を上げるということになり、速く走れる状態になるには心肺機能の安定性を上げるトレーニングをする必要があるということにもなります。(心肺機能の安定性を上げていく過程で全体的な安定性も上がっていきます)

 

そもそも、どうしてトレーニングをすると「安定性」が上がっていくのか?そんなこと考えなくても効果のあると言われているトレーニングをすればいいだけと思うかもしれませんが、私は回りくどいのが好きなので(笑)、ここから考えてみましょう。

 

生物には「恒常性」という機能(傾向?)が備わっていて、状態を一定に保って「安定」させようとする働きが常に起こっています。私が前から書いている、「生きるのに都合が良い」方へ進むというエネルギーの方向性によって、「安定」するようになっていると私は考えます。

 

つまり、「安定」した状態というのは「生きるのに都合が良い」ということです。

 

例えば、ロードバイクを走らせると汗をかきますが、これは運動することで体温が上がるので汗をかいて体温を下げようとする働きが起こります。これが「恒常性」です。体温が上がり過ぎると生命維持に支障をきたすので、「生きるのに都合が悪い」状態になっていきます。なので、体温を下げて「生きるのに都合が良い」状態へ戻しているわけですね。

 

こう見てみると、体内の環境を一定に保とうとするのが「恒常性」なのですが、体外の環境変化に対応しているということにもなります。

 

一時的な環境変化であればその時だけ対応すればいいだけですが、それが長時間や高頻度の変化になると対応しきれなくなってくるので、今度はその環境へ「安定的」に対応しようという働きが起こります。その新たな環境に「順応」するということですね。そうなるとその新たな環境で「安定」しようと「恒常性」の働きが定着していくことになります。結果として、その新たな環境で「安定」するということです。

 

短時間の変化なら「生きるのに都合が悪い」という度合が低いので一時的な対応でいいけれど、長時間・高頻度の変化になると「生きるのに都合が悪い」という度合が高くなるので、「生きるのに都合が良い」という状態を安定的に保つ為に「恒常性」の働きによって「順応」していくということですね。

 

これがトレーニングすると安定性が上がっていく仕組みです。

レーニングは「環境変化」を故意に起こしているということです。

ということは「環境変化」が起こらないと能力は上がらないんですね。

 

この「恒常性」ですが、基本的には「環境変化」を嫌います。

 

例えば、「しんどい」ことってあんまりしたくないですよね?ロードバイクで速く走ったり、勾配のキツイ坂道を上ったりするのは「しんどい」のであんまりやりたくありません(笑)。それは、「恒常性」によって「安定的」な状態へ引き戻そうとする働きが起こり、「それはしんどいことなのであんまりやるな」と指令が出ているからです。

 

その指令を無視して「しんどい」ことを続けていくと、「継続的な環境変化」が起こったと「脳」が判断して「恒常性」の働きによりその環境変化に「順応」していきます。

 

でも、「レジャー」でロードバイクに乗っている場合は、ほとんどそこへ辿り着けません。もちろん「しんどい」のはイヤだからです(笑)。

 

趣味としてのロードバイクが面白い立場なのが、そもそも「しんどい」ことをするのがロードバイクという趣味の大部分なのに、その「しんどい」ことをなるべく避けようとするっていうところですよね(笑)。自転車は大体の人が子供の頃に乗ることができた乗り物なので、そこまで「しんどい」と思っていなかったという人が多いし、「機材」の性能を過大評価している人も多い。だから、辞めていく人も多いんでしょうね。

 

この場合、「しんどい」ことの頻度を減らしたり辞めるということで「安定」するというわけです。「恒常性」がちゃんと働いている証拠ですね(笑)。

 

レーニングとは「恒常性」に働きかける為に故意に「環境変化」を起こすということですが、その起こした「環境変化」から逃れようとする働きも「恒常性」によって起こるということになります。なので、能力を上げるには「環境変化」は起こさないといけないのですが、そこから逃れる働きを最小限にする為に、起こす「環境変化」はなるべく小さくしないといけません。そうしないと逃れる方向の「恒常性」が大きく反応してしまい「しんどい」が大きくなってしまいます。結果、そのトレーニングは続きません。

 

ということは、最適なトレーニングとは「ちょっとずつの環境変化の積み重ね」と言えますよね?

 

私は前からタイムトライアル練習という、自分で決めたコースのタイムを縮めていく練習をおすすめしていますが、これがまさしくその「ちょっとずつの環境変化」が起こりやすい練習方法です。タイムを縮めるということは遅く走ったらダメなわけですが、かと言って速く走り過ぎても「しんどい」が大きくなるので途中で失速してしまいます。その丁度いいところで走った場合に、その時の自分の状態で一番良いタイムがでるわけです。それを繰り返してタイムを縮めていくには速く走り過ぎたら失速してしまうので、「ちょっとずつ速く走る」必要があります。

 

それが、「ちょっとずつの環境変化の積み重ね」になっているんですね。

 

ただし、そのタイムトライアル練習もある程度積み重ねて行くと「環境変化」が起こりにくくなってきます。タイムトライアル練習は同じコースで行うことが前提となっていますが、その設定したコースで練習を続けているとある一定の負荷から上の負荷を得られなくなります。例えば、平坦中心のコースでタイムトライアル練習をしている場合、私の経験から言うとPWR3.0w/kg辺りを境にパワーを上げるための負荷が得にくくなってきます。

 

なので、「環境変化」を起こすということを考えるとコースを変えるということも必要になってきます。

 

他にも「恒常性」が反応するのは、「負荷」「時間」「頻度」なので、上記のコースを変えるということは「負荷」を変えるということになり、「時間」を変えるということも同じくコースを変える(伸ばす)ということになり、「頻度」を変えるということはロードバイクに乗る回数を増やすということになります。

 

能力を上げていくということは、そういう「環境変化」を自分で起こしていくということです。

 

ここで、注意しないといけない点は、その「負荷」「時間」「頻度」を変えるということは、自分自身への負荷が高まっていくということです。なので、これは「能力が安定してきたな」と感じてからしないといけません。そうしないと「恒常性」によって「しんどい」が大きくなってしまうからです。

 

こういうことを考えていくと、自分が今どういうトレーニングをすればいいのか?ということが自ずと見えてくるのではないかな?と思います。