おっさんの外部記憶装置

40代おじさんのブログ

心肺能力を考える

どうも、おっさんです。

 

最近の記事の流れで、「心肺能力=走力」という話をしてきたんですが、ここの部分は勘違いしやすいというか、全般的に「数値が良いと能力が高い」という勘違いが発生しやすいかもしれないので、補足的に私の考えを書いてみたいと思います。

 

一応、色々な資料を私が読んだり、他人のデータを見てみたり、自身で経験してきたことを「こうかな?」という考えなので、絶対に正しいということではないのでその辺はあしからず(笑)。

 

まず、コメントでもいただいたのですが、ネット上でもよく見られるところで

 

「最大心拍数が高いと、心肺能力も高い」

 

という誤解。

これの答えは

 

「最大心拍数は人それぞれ」

 

ということになり、最大心拍数が高いか低いかは心肺能力の高低に関係ないということです。

 

実際、私の今まで記録した最大心拍数は「206」ですが、それより全然低い最大心拍数の人で私より走力のある人はたくさんいます。「心肺能力=走力」なので、私より最大心拍が低くても心肺能力はあるということです。

 

「最大心拍数は人それぞれ」なので、よくある「220 - 年齢」みたいな計算式はほとんど当てはまりません。よくあるのが、その計算式で最大心拍数を設定してあるので、ヒルクライムなんかをすると常に「ゾーン5(最大心拍数の90~100%)」の領域になってしまっている人がいます。もしかしたら、長時間ゾーン5で走り続けられる能力を持っているのかもしれませんが、大抵の場合は最大心拍数の設定ミスでしょう。

 

例えば、私の心拍をその計算式に当てはめて計算すると最大心拍数は176拍になってしまい、タイムトライアルで「丁度良い」と感じながら走っている領域は180拍付近なので、常に最大心拍数以上で走っているということになってしまいます(笑)。

 

明らかにおかしいですが、ネット上ではこれに対しても変な解釈があって「計算上の最大心拍数より上は危険な領域だから、使ってはいけない」というものがあります(笑)。これは嘘なので信じたらダメですよ。

 

これと関連した誤解で

 

「最大心拍数に近い心拍数を維持できると心肺能力が高い」

 

というのがあります。

高負荷で最低1時間維持できる心拍数が「閾値」です。

そこに、心肺能力の高低は関係なく、単に維持できるところが「閾値」なだけです。

 

例えば、二人を比較して、二人とも最大心拍数200拍で同じだとします。一方の閾値が180拍で、もう一方の閾値が185拍だとすると、185拍の方が最大心拍数に近いところで維持できるということになります。でも、185拍の人のパワーが180拍の人のパワーより低い場合は、180拍の人の方が「走力が高い」ということですよね?

 

となると、「心肺能力=走力」なので、180拍の人の方が心肺能力が高いということです。

こう考えても、心拍数等の数値の高低では「心肺能力」は測れないということですね。

 

走力が高いということは、速くゴールする能力が高いということです。

そこに数値の高低は関係ありません。(あるとすればタイムだけ)

 

パワーが全く同じ人が競争した場合でも、全く同じタイムでゴールすることはほとんどないでしょう。そのパワーを上手く使った方が勝ちます。

 

数値は、単に走った結果を表しているだけで、それが絶対の数値ではないということです。

 

こういう数値の誤解があるということ踏まえて、さらに考えます。

 

まず、「閾値」は有酸素運動無酸素運動の切り替え点とよく言われますし、私もそういう説明をしています。が、実際は有酸素系と無酸素系は同時進行でエネルギー供給しています。無酸素系が有酸素系に対して圧倒的に優位になる前の地点が「閾値」なので、わかりやすく「切り替え点」としているだけですね。

 

ということは、無酸素領域に入っても、無酸素系は有酸素系を大きくアシストしているだけで、有酸素系はエネルギー供給をやめていないということになります。無酸素系は大きなアシストと引き換えに「疲労」を急速に蓄積させてしまうので、アシスト量が大きいほどアシストできる時間や回数が少なくなり、それと同時に「疲労」によって有酸素系も働きが弱くなるということだと考えます。息切れして運動が継続できなくなるのは、無酸素系のアシストが急激になくなって疲労だけを置いて行って、有酸素系だけになるからと言えますね。

 

これは、実際に体感できることで、「閾値」を大幅に超えたり何度も越えたりしていると段々とパワーが出にくくなってきます。(無酸素系を鍛えると、ここの超える回数や幅を増やすことができるということですね)

 

こう考えてみると、「閾値」というのはあくまでも心肺能力を基本としているということです。

 

FTPは1時間持続可能なパワーなのですが、それは心肺能力の「閾値」を越えない心拍数を維持できるパワーなだけであって(一つ上の地点としてオールアウトまでとも言えますが)、そのパワー値が先にあるということではないということ。

 

つまり、心拍数による閾値内にギリギリ収められるパワーが、その時点で出せる最大パワーになるということになります。

 

これは、なんのことはないパワーカーブで見られる数値ということですね(笑)。

この辺りは感覚的に理解できると思います。(もちろん理論でも)

 

結局のところ、心肺能力による閾値内で出せる最大パワーが大きいほど「心肺能力が高い」ということになります。有酸素運動なので、秒単位の持続パワーではなくて最短でも1分より長い時間になりますが、限界値を表すとするとVO2maxの3~8分(平均5分)のパワーが高いほど心肺能力が高いということではないかな?と。(それより長い時間でのパワーの違いもありますが…)

 

まぁ、これは理論的にも説明されていることなので、言うまでもないですが(笑)。

 

心拍数等の高低がどうこうではなくて、自分が安定して維持できる心拍数で最大パワーを出せる地点が、その人の心肺能力ということですね。それを他人と比較した場合は、パワー値でしか比較することができないので、パワーの大小が心肺能力の高低になるという話ですね。