どうも、おっさんです。
何年か前の話なんですが、大型二輪に乗っている方のブログに書かれてあったことです。
大型二輪は走らせるのにそれなりの体力が必要だけど、その方は月に数回程度しか乗る時間がなく、それではその体力が維持できないということで、代わりに自転車に週数回程度乗って体力を維持することにしたそうです。
その方が言うには、ロードバイクを趣味として乗っている人たちは
「コスプレ」
だそうで、私はそれを見て「上手いこと言うなぁ」と思ったのですが(笑)。
まぁ、これには賛否というか見方は色々とあると思うんですが、レースとかの目的でロードバイクに乗っている人以外は、ほとんどの場合
「ロードバイクに乗っている人”という状態を演じている”」
のではないかな?ということです。(全員というわけではありません)
この方からすれば、ロードバイクに乗るのは「体力の維持向上」なわけで、まぁ言ってみればスポーツ的な解釈で乗っているんですよね。
これ、前に書きましたが、同じロードバイク乗りでも「レジャー」と「スポーツ」の二つの派閥に分かれているってことです。
で、そのレジャー派の人の事を「コスプレ」って言っているんですね。
これの意味するところは、私も何度か書いているんですが「ロードバイクを本来の用途では使っていない」ということなんです。
私は「上手いこと言うなぁ」と思ったのですが、同時にちょっと違和感があって「コスプレ」はちょっと違うかもなぁとも思いました。
「コスプレ」をしている人は、その対象に(本人なりに)成り切って演じるわけですが、例えばドラゴンボールの悟空のコスプレをしても、空を飛んだり”かめはめ波を打てる”とまでは思わないじゃないですか?
つまり、「コスプレ」(扮装)をしているんだっていう自覚があるわけですよ。
しかし、「ロードバイクに乗っている人”という状態を演じている”」人はその自覚がない場合が多い。
ロードバイクという趣味を見た場合、「長距離を走ったりヒルクライムしたりして、お洒落なカフェとかに寄るみたいな行為をする趣味」みたいな印象じゃないですか?それが良いとか悪いとかいう話ではなくて、一般的にそう解釈している人が多いですよね?
でも、長距離を走ったりヒルクライムをしたりすることって、それなりに体力(走力)が必要でほとんどの人はその実力がない場合が多い。やってみれば気付くんだけど、だとしてもそこから”トレーニングが必要”とはならないことも多いです。(やる必要がないと思われている)
実際にはその行為をする実力がないし、それを身に付けようとしないにも関わらず、自分はその行為が出来ていると思い込んでいる状態です。(長距離やヒルクライムは頑張れば走れることがあるけれど、走れたからといってそれが”出来ている”とは言えない)
ということから、そういうイメージでロードバイクに乗っている人のほとんどは、扮装(コスプレ)をしているっていう自覚がないと言えるので、それを「コスプレ」というのはちょっと違うなと思ったわけです。
前に「記号消費」の話をしましたが、これは物の機能(本質)を消費するのではなくて、その物のイメージを消費しているという話です。
今回の話で言うと、一般的に行われているロードバイクという趣味も、この「記号消費」という部分が大きいのではないか?ということになりますね。いや、ロードバイクに限らず、あらゆる行為が「記号消費」になっているわけですが。
この「記号消費」と関連する「シミュラークル」という概念があって、これらはフランスの思想家ジャン・ボードリヤールが提唱したものです。
シミュラークルとは、フランス語で「虚像」「イメージ」「模造品」という意味ですが、概念として簡単に言うと「コピーがオリジナルから独立して存在し、オリジナルとは乖離しているのにそのコピーが模倣されていく状態」のことです。(詳しくは各自で調べて下さい)
おそらく一般的なロードバイクという趣味はこのシミュラークルによって、ロードバイクの本質から離れたところのイメージを「良い」と感じる人が多く、そのイメージが模倣されていくことで今の状態になっていると考えられます。
ロードバイクの本質については何度も書いているのですが、
「舗装路を高速で走る自転車」
なので、速く走るということは時間換算で遠くまで行けるということだし、遠くに行くということは山の一つや二つ越える事もあり、ヒルクライムに必要なパワーもあるということでもある。
さらに、それだけの体力を消費するということは、途中でエネルギー補給の為に食事をする必要も出てくる。
本質に沿った行動をした結果そうなっているだけで、本来はそれが目的ではないという話なのですが、その本質が見えなくなっているのがシミュラークル的だということになりますね。
コスプレの場合、本人がその対象の扮装をしていることを自覚していて、本質とは離れていることを理解しているが、一般的なロードバイク趣味の場合は、本人がロードバイクの本質と離れていることに気付いていないという違いがあるので、コスプレという表現は適切ではなくシミュラークルや記号消費の方が近いかなという話でした。