おっさんの外部記憶装置

40代おじさんのブログ

タイムトライアル練習でわかること

どうも、おっさんです。

 

前回の

nicolarossi.hatenablog.com

記事で書いた通り、今回は「タイムトライアル」について書きます。

競技としてのタイムトライアルではなくて、練習としてなのであしからず(笑)。

 

前回も書きましたが、「タイムトライアル」の定義は

 

決めたコース・距離を走ってタイムを縮める

 

ということです。

一応、「タイムを縮める」という部分はタイムトライアルの定義上必要なのですが、あくまでもタイムが縮まるのは走った「結果」そうなるということです。(この辺は後で話します)

 

まず、「タイムトライアル」と聞いてどんな印象なんでしょうかね?

 

私も乗り始めの頃から、「23km程度の距離をトータル1時間で走る」ということをやっていましたが、初めのうちは「しんどいけど基礎を作るには必要」と思ってやっていたので、「しんどいけどやらないといけない」という気持ちだったと思います。なので、毎回やっていたわけではなくて、途中で息抜きの低強度ライドも入れつつ1時間走破達成させました。つまり、

 

「しんどいことをする」

 

という感覚は当たり前にあったわけです。

でも、それ以上に「自転車楽しー!」(笑)があったので、「しんどいけど面白い」という感覚へ変わって行ったという感じでした。

 

おそらく、一般的にもタイムを出す為に走るんだから「常にしんどい状態で走り続ける」と思われているんじゃないかな?と。まぁ、タイムトライアル競技だったらそこまで追い込むのかもしれませんが、実際に練習でやってみると、実はそれは大きな勘違いということがわかります。

 

タイムトライアルを練習としてやってみると

 

「しんどいけどしんどくない」

 

がわかるようになります。

何言ってるんだお前?って言われそうですが(笑)。

実感すれば確実にわかりますが、言葉で説明するのは難しいです。

それを数値で説明しているのが

 

閾値

 

なんですね。

でもこれは知識として頭に入っていても、実感できていないと理解したとは言えません。

それを実感できる練習が「タイムトライアル」ということです。

 

この練習自体はタイムを縮めるのが目的なので、できるだけ速く走る必要があることは誰でもわかると思います。とは言っても、例えば30kmの距離を走る場合、その距離を走り切らないとタイムは計測できないので、その30km体力がもつ「速さ」で走らないといけないわけです。

 

「タイムを出すこと」ばかり考えて走るとオーバーペースで失速するし、「体力温存」ばかり考えて走っても体力を使い切る前にゴールしてタイムは縮まりません。そういうチャレンジを繰り返していくうちに「丁度良いところ」がわかってきて、その結果

 

「一定ペースが最善」

 

ということに辿り着きます。

速すぎると失速するし、遅いとタイムが出ないので必然的にそうなっちゃうんですね。

「一定ペース」って何が一定かというと、自分が出す「力」が一定ということです。

 

速すぎると失速するのは「力」を使いすぎているからで、遅いと体力が余るのは「力」を使い切れていないからですよね?なので、

 

「丁度良い力加減を最初から最後まで保つ」

 

のが最善ということです。

じゃあ、その「丁度良い力加減」って何なんだ?ってことです。

 

運動すると、その運動が激しくなっていくにしたがって「心拍数」が上がっていきます。ロードバイクだと、緩く走っている場合の心拍数は低く、速度を上げたり坂を上ったりする場合の心拍数は高くなります。心拍数を見られなくても、強度が上がっていくと呼吸数が多くなって息が荒くなるので実感できますよね?

 

どうしてこうなるのかというと、「力」をあまり使っていない場合の必要エネルギーは比較的少なくて済むので、酸素の供給量は少なくていいから心拍数は低くていい。逆に、「力」が多く必要になっていくにしたがって、エネルギーが多く必要になってくるので、酸素の供給量を多くしないといけなくなり、心拍数を高くしているということです。

 

ただ、心拍数は際限なく上がっていくわけではないので、人によって最大値は変わりますが上限がありますし、なにより心拍数が上がっていくことによって「疲労度」も上がっていきます。だから、心拍数の高くなる高強度は「しんどい」わけです。

 

ということは、心拍数の面から見ても極端に疲労度が上がらない程度で、タイムを縮められる「力」を出せるぐらいの丁度良い心拍数を保って走ればいいということになります。

 

とは言っても、経験の浅い初心者や、高強度のトレーニングをしたことがない人の場合は、心肺能力が低いので丁度良い心拍を一定に保って走ることができませんし、その丁度良いと感じるところも初めは低い位置にあるので「力」はそれほど出すことができません。だから速く走れないわけです。(あと、運動不足の場合は基本的な体力筋力が不足しているので、本来の心拍数まで上がらないということもあります)

 

でも、練習を続けていくと心拍数の安定度(急激な上昇をしなくなる)は上がっていくし、それに伴い丁度良い心拍数を保つことも比較的容易になっていきます。丁度良い心拍数というのは(仮の)「閾値」なので、そこで練習を続けていけばその「閾値」も上がっていきます。

 

タイムトライアルを繰り返していくと、感覚的に「丁度良いところ」がわかってくるのと同時に、身体もその「丁度良いところ」に収束していきます。そして、その「丁度良いところ」で練習を継続すれば能力が上がっていきます。これは必然です。

 

乱暴に言ってしまえば

 

「タイムトライアルしていれば、勝手に走力が上がる」

 

ということです(笑)。

上に書いてある能書き(笑)を知らなくても、やればわかります。

それが、実感するということですね。

 

心肺能力を上げるということなので、最低でも「心拍計」が必要だと思うかもしれませんが、なくても大丈夫です。サイコンも必要なくて、スタート地点とゴール地点に時計があればタイムは測れる(その二つが同じ時刻を示している必要がありますが笑、もちろんスタートとゴールが自宅等の同地点であればそこの時計を見るだけ)ので、それ以外なにもいりません。時計持って走ればいいんですが、時計とにらめっこで走るのは余計にしんどくなるのでおススメしません(笑)。

 

私も、初めの1ヵ月はサイコン無しで自宅の時計を見てタイム計ってましたしね(笑)。

 

ただ、記録としての数値が残っていると後で客観的に比較することができるので、予算があるのであれば測定機器はあったほうがいいですが、初めのうちは数値を見てしまうとその数値を無理に保とうとしてしまうかもしれないので、できれば走行中は見ない方がいいかもしれません。現状の確認として数値を見ることができるのであればかまわないのですが。

 

一応、私の数値を見て解説します。

f:id:NicolaRossi:20190827220745j:plain

 

今年6月のタイム更新した時の、2.8km程度の区間データです。

いつもの42kmコースの中盤の南下路で、向かい風ですがトータルで-1%弱の下り。

(実際は微妙な具合の上り下りが続く平坦路です)

パワーが一部下がっていますが、ケイデンス見ればわかる通りにただの欠損です。

 

信号待ちからスタートしているので、初めの心拍は140拍ぐらいですが1km走らないうちにビタっと安定してます。パワーは200w程度安定して出ていますし、ケイデンスも安定。この状態で次の信号までの5分程度走りました。私の推定FTPは180~190w(当時)だったので、閾値の上限を超えた辺りで走っています。でも、心拍は閾値内に収まっていて安定しています。

 

一応、サイコンの数値はほとんど見ないで走っているのですが、200wを出そうと思って走っているのでも、心拍を閾値内に収めようと思って走っているのでもなく、「丁度良いところ」感覚で走っています。このときは、心肺能力が過去最強に良かった時期なので、思い通りに走れているんですね。

 

単純に、自分の感覚で走った結果がこの数値というだけです。

 

私のコースの場合は、大体2~3kmぐらいの区間を走ったら交差点か信号で停止または減速します。なので、「丁度良い」と感じるのは閾値の少し上(VO2max)で走る状態で、それを42km続けるだけということになります。インターバルしているようなもんですね(笑)。

 

この閾値付近で走っている状態で、心拍が安定している状態までくれば「しんどいけどしんどくない」になります。無酸素領域に入って行かなくなるので、閾値に粘りが出たと感じることができますし、他の言い方をすれば「閾値が太くなった」という感じです。とにかく安定していて自由に体を動かせる感じです。なので、余裕を感じて自分の思い通りになる感覚になっています。

 

「しんどい」と「しんどくない」の境目がクッキリわかります。

なので、全くしんどくないわけではなく「しんどいけどしんどくない」なのです(笑)。

 

この感覚は別にタイムトライアルのときだけに優位に働くわけではなくて、この感覚がわかるとロングライド等のそれより強度が低い状態で走るときでも同じ余裕として働きます。まぁ、どうすればしんどくならないか(しんどくなるか)を知っているわけですから当たり前なんですけど。

 

タイムトライアルはその定義上はタイムを縮めるのが目的なんですが、それはタイムを縮める(速く走る)という行為を続けると必然的に走力が上がるので、その結果タイムが縮まるということです。そりゃそうだろという話なんですが(笑)、「なんでそんなしんどいこと…」って思っている人は、「タイム縮めて何になるの?」という考えがあるんじゃないかな?と思うからです。

 

「しんどいけどしんどくない」がわかると、自分の思い通りに走れる感覚が身に付くのと同時に、その反対側の「自分の思い通りにならないところ」がちゃんと見えるようになります。

 

レーニング無しの素人はその「自分の思い通りにならないところ」に脚を突っ込んで

 

「なんで思い通りにならないの?」

 

と思っているわけです。

結果、ただ「しんどい」だけになっちゃっているんですね。

 

「自分の思い通りにならないところ」が見えると、そこを使わなければいいんだということがわかるわけです。使わなければ、自分の思い通りに走れるわけですからね。

 

パワーメーターって本当に便利な機材で、FTPテストすればそれを数値で出してくれます。パワートレーニングの理論を理解できていれば、FTPが自分の実力だということはわかるわけですが、理解できない(理解したくない)人も出てきます。

 

「剛脚だろうが、長く走れるスタミナがなければ意味がない」

ヒルクライムは持久力がないと後半力尽きる」

 

と言っている人ですね。

理論で理解できない(理解したくない)なら実感するしかないわけで、その実感できるのは高強度のトレーニングということになり、理論学習以外ではタイムトライアルが最適ということになります。

 

タイムトライアルをしていくと

 

「ここまでは大丈夫、ここからはダメ」

 

ということが感覚的にわかります。

それが

 

「自分の実力」

 

ということです。

まず、自分の実力を把握できないと、その先の物事に対処できません。

その先というのは、応用の部分です。

 

レースであったり、ロングライドだったりのことです。

まぁ、トレーニング無しでレースに出る人はあまりいないと思いますが…。

(そういうコメントいただいたので、結構いるのかな?笑)

 

理論的・効率的なことを突き詰めていくと、パワートレーニングに行き着くので、短期間で強くなりたいという場合はパワーメーターを買って理論通りにトレーニングした方早いと思います。

 

ただ、パワートレーニングって攻略本を隅々まで見ながらゲームを攻略していくというような感じなので、個人的には試行錯誤しながら成長できる「タイムトライアル」の方が好きだなと思っています。