どうも、おっさんです。
前回の
記事で書いた、高強度トレーニングを避けたい人が「高強度は筋トレ」と思っているのは、無酸素領域で走っているからという部分を数値で見ていきたいと思います。
トレーニングの指標としてはパワーが一番わかりやすいので、パワーゾーンの区分けを見てみましょう。
L1 回復走 ~ 55%
L2 耐久走 56~ 75%
L3 テンポ走 76~ 90%
L4 閾値 91~105%
L5 VO2max 106~120%
L6 無酸素運動 121~150%
L7 神経筋 151%~
FTP(1時間持続可能パワー)を100%として見ます。
ゾーン(レベル)の意味は、その「強度」で走るとそれぞれの領域が刺激されて能力が伸びるということですが、同時に、その領域で走るにはこれぐらいの「強度」が良いですよ、とも言える指標です。
前に書いた
この記事での、「一般男性のFTPは100w」という前提で見ていくと、%をそのまま「ワット(パワー)」に置き換えてもらうとわかりやすいと思います。ただし、この指標は全ての人に完全に当てはまるというわけではなく、人によって領域がずれる場合もあります(極端に変わるわけではないですが)。その点は、頭に入れておいた方が良いですね。
前回の記事でも書いた通りに、高強度のトレーニングをしない人というのは、ロングライドを中心として走っていると思います。その場合に、どの領域で走ればいいかというと「L1」と「L2」の領域です。
FTPの75%以下なので、パワーで言うと「75w」以下ということです。
パワーで言われてもパワーメーターがないとわからないと思うので(笑)、体重60kgの人が追い風2m/sの平坦路を75wで走ったら、計算上の速度は
「23.6km/h」
になります。
追い風2m/sにしているのは、自然界では無風はほぼ無いということと、無風だと感じている場合でも1~2m/s程度の追い風になっているからです。もちろん、向い風だとこれより速度は落ちますし、本当に無風の場合も速度は下がります。追い風2m/sというのは比較的条件の良いコンディションと言えます。
この、「23.6km/h」という数値を見て、おそらくほとんどの人が「遅い」と思うんじゃないでしょうか?。それは「30km/hは当たり前」みたいにネットで書かれているので、そう感じてしまうんですね。でも、一般素人の実力としては、ロングライドの平坦ではこれぐらいの速度が丁度良いということです。
では、上の条件と同じで、今度はその「30km/h」で走るにはどれくらいのパワーが必要なのかというと
「143w」
になります。
75wの倍近く必要です。
この「143w」をパワーゾーンに当てはめたら?
「無酸素運動」
です。
はい、そのまんまですね(笑)。
しかし、ここからが本当の問題です。
上で書いた通りに「30km/hは当たり前」なので、そう思っている人はこの強度の運動でさえも「高強度」だと思っていないかもしれません。
ということは、実際に「これが高強度」だと思って出している強度って…?
おそらく、FTPの150%以上は出しているのでは?
つまり、
「高強度トレーニングは筋トレ」
という通りになっちゃっているわけです。
もちろん、ちゃんとトレーニングすればFTPはどんどん上がっていくので、この辺りの出力は全然問題なくなっていきますが、ロングライド中心で乗っているだけではFTPはほとんど上がらないので、いつまでたっても「高強度は筋トレ」になってしまうんですね。
ちなみに、上と同じ条件で「30km/h」で走る状態が無酸素領域を抜けるのは、FTPが最低120w以上程度になってからということになりますが、ちゃんとトレーニングすればそれぐらいは必ず上がります。
FTPを元にしたパワーゾーンという指標を知れば、頭で理解することは容易だと思います。
そこまでわかると、パワーゾーンを指標としてトレーニングするのであれば、前回の記事で書いた「閾値」付近で走ればいいんだなということにも気付くでしょう。
「閾値」付近のパワーを上と同じ条件で速度換算すると
「26.8km/h」
になります。
じゃぁ、これぐらいの速度で走ったらいいのか?というと、そう簡単ではありません。
何故なら、実際には風速2m/sの追い風の平坦はずっと続かないからです(笑)。
(※そもそも、閾値はそれぞれ違うので速度での管理はできません)
当たり前の話ですね(笑)。
パワーメーターがあれば数値を確認しながら走ることも出来るんですが、すぐ買えるような安い機材ではないですし、なにより数値に頼ってばかりなのもあまりよくありません。そこで、
タイムトライアル
という練習方法が出てきます。
毎回、決めた同じコース・距離を走ってタイムを縮める練習です。
次回は、この「タイムトライアル」について書きます。