どうも、おっさんです。
とあるYoutube動画のコメント欄で…
「高強度トレーニングは筋トレと同じだからやらない」
と書かれていました。
別に、筋トレがしたくてロードバイクに乗っているわけではないから、低~中強度のロングライドで十分ということらしいです。
見た瞬間、「え?」と思いました。
そして、同時に「あー、そういうことか!」と。
前回の記事でも指摘していますが、高強度のトレーニングを頑なに拒む人がいます。それは「しんどいことはしたくない」ということなんでしょうし、ロングライド中心に乗っているだけであれば、する必要性を感じないということもあるでしょう。
この「高強度トレーニングは筋トレと同じ」という考えですが、完全に間違いです。
レースで順位を争う場合の走力を考えると完全に間違いとは言い切れない(ゴールスプリント等を考えると筋トレ要素も入ってくる為)ですが、少なくとも私が想定して話している「その辺を走っている素人」には当てはまります。
有酸素運動での高強度トレーニングとは何を目的にしているのかというと
「心肺能力の強化」
です。
具体的に何を強化するのかというと
「閾値の底上げと安定」
です。
閾値と言っても色々と解釈があるのですが、ここでは有酸素運動の限界点(無酸素運動に切り替わる前)とします。つまり、著しく疲労が溜まり始める前の地点で、その限界点を越えなければ運動を続けることが出来ます。
閾値を上げるということは、酸素を取り入れてエネルギーに変える能力が上がるということなので、パワーが上がりそれによって走力が上がります。
「安定」は、心肺能力が上がってくると心拍が安定して急激に上昇することがなくなり、なかなか無酸素領域に入って行かなくなるということです。意図的に無酸素領域に入れない限り安定して有酸素能力を発揮できます。
有酸素運動での高強度トレーニングというのは、酸素をより多く取り込んで、より多くのエネルギーを作り出し、使えるパワーを増やす為にするということになります。エネルギーの供給量を増やして、身体(筋肉)を効率よく動かすのが目的です。(もちろん、運動しているので連動して筋肉の能力も上がります)
なので、筋肉そのものを鍛える「筋トレ」とは能力を高める方向性が違います。
前回の記事での
「剛脚だろうが、長く走れるスタミナがなければ意味がない」
「ヒルクライムは持久力がないと後半力尽きる」
という考え方は、この「高強度は筋トレ」という勘違いからも来ているのではないか?と思いました。つまり、高強度の領域は「筋力の領域」だと勘違いしているということです。筋力がいらないということではなくて、瞬発的な筋力の領域だと思っているということ。
瞬発的な筋力の領域はまさに「無酸素領域」なのですが、有酸素運動の高強度トレーニングはその領域に入りにくくする為のトレーニングです。なので、「高強度は筋トレ」とは真逆なんですね。
どうしてこんな勘違いが発生するのかというと、それは本人自身が高強度では無酸素運動になっているからでしょう。つまり、瞬発的な筋力に頼った運動をしているということです。ということは、閾値を越えたところで運動しているということになるので、当たり前に
「しんどい」
のです。
だから、そんな「しんどい」ことはしたくないとなるんでしょうね。
私が思うのは、やっぱりこれは初心者がロングライドをすることの弊害なのではないかな?ということです。一般的に、ロングライドって目的地や通る道を決めていたとしても、「強度」を決めて走るなんてことしないでしょう?ロングライドの行程中に、その時々の気分で強度を上げ下げして走る。気分が乗ってたら飛ばすし、疲れたらゆっくり走る。峠に来たらちょっと頑張ってみるとか。
走り始めの体力のある時や、気分の乗ってる時に無酸素領域で走って「しんどい」と感じ、その「しんどい」のは続けたくないから今度は低強度で走る。中強度もトレーニングしていないとそんなに続かないですからね。
そこで、私がやってる40km程度のTTはおススメなんですけどね。
初心者でも2時間以内で走れるので、集中力が途切れない範囲で一定ペースを学ぶのに最適だし、なによりそうすることで自分の実力がわかる。そうすると無暗に無酸素領域で走るようなこともしなくなって、逆に無酸素に入れない事の大切さもわかると思うんですが。