おっさんの外部記憶装置

40代おじさんのブログ

ヒルクライムでのギア選択

どうも、おっさんです。

 

先週末は富士ヒルクライムの前哨戦(?)の「ハルヒル」(榛名山ヒルクライム)や他の地域でもヒルクライムレースがあったみたいですね。動画サイトにも続々とその様子がアップされています。

 

ヒルクライムレースって比較的「安全」って言われてますが、動画を見てみると物凄い蛇行している人や、道幅一杯横に並んでえっちらおっちら止まりそうなケイデンスで走っている人が大勢…。見た感じ「安全か?」と思ってしまいました。(今にもバランス崩しそう)

 

レースとして参加しているトップ選手のグループならレース慣れしているので安全なんでしょうが、「力試し」的や「お祭り」として参加している下位の集団は自分のことで精一杯な感じがして、周りが見えていないので「安全」とは言い難いですね。

 

見ていて思ったのが「もっと軽いギアで走ればいいのに」ってことです。

明らかにギアが合っていない人が大勢です。

 

ハルヒルの公式コースプロフィール(榛名湖コース)は

 

距離(計測区間) 14.7km

標高差 907m

平均勾配 6.0%

最大勾配 14.0%

 

です。

私が登るとすると…

 

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こんな感じでしょうか?

最大勾配が14%なので、その区間はパワーを一時的に上げるかケイデンスを落とす必要がありますが、現状の「36T×28T」(フェニックス)でなんとかなりそうです。

 

私の場合は、大体ケイデンス70~を維持できればパワーダウンするほど「しんどくなる」ことはまずないのですが、70を下回って60が近づいてくるにつれて脚への負担が増えていくのを感じます。これは人によって違うので、この「脚への負担が増えていく領域」に入らないケイデンスとトルクの関係を知らないと、効率のいいギアでの走行がわからないわけです。

 

風等の外因を一定とすると、ヒルクライムの場合の走行速度というのは、勾配に対してのパワーで決まります。他者との駆け引きのあるレース以外のタイムトライアルの場合は、パワーは一定で走るのが最も効率のいい走り方になる(パワーの無駄な上げ下げは疲労を大きくする)ので、例えば60分走る場合はFTP(60分間維持可能パワー)を一定で発生させると最も効率が良くなります。

 

ヒルクライムでは同じコースを走る場合の勾配は当たり前に誰でも同じ(コース取りで違いはありますが…)なので、速いか遅いかはその他の外因(体重含む)が違わない限り出せるパワーで決まることになります。

 

つまり、150wの人と200wの人が同じコースを走ったら、当然200wの人の方が速いわけです。

 

この二人の効率的なケイデンスが同じだった場合、150wの人は200wの人より軽いギアにしないと効率的に走ることはできないということですね。150wの人の方がスピードが遅いわけですから、ケイデンスが同じなら軽いギアにしないといけない。

 

よく聞く話で…

 

「軽いギアは進まないから余計疲れる」

「軽いギアは慣性が弱くなって失速する」

 

なんて言われます。

これ、よく考えるとおかしな話です。

 

なぜなら、ギアが軽かろうが重かろうが、同じパワーで進んでいれば「速度は同じ」だからです。

速度が同じなら「進まない」は嘘ですし、「慣性が弱くなる」も嘘です。

 

進まないのはパワーを落としているから進まないんです。

軽いギアを重いギアと同じケイデンスで回したら、遅くなるのは当たり前ですね。

当然、必要なパワーが落ちたぶん楽にはなります。

 

軽いギアを選択するのは、パワーを落として楽になる為ではなくて…

 

「パワーを落とさずケイデンスを上げて脚の疲労を少なくする為」

 

です。

タイムトライアルではパワーを一定にすることが良いということを考えればわかりますよね。

 

ヒルクライムのテクニックで

 

「勾配の緩いところで”頑張る”」

 

っていうのがあります。

意識付けとしては間違っていないのですが、これ結構思い違いしている人が多いです。

 

勾配の緩いところで「頑張る」のではなくて、勾配のキツイところも緩いところもなるべく「一定のパワー」で走るということが大切です。「勾配の緩いところで休んでしまう」という人は反対に「勾配のキツイところで頑張りすぎてしまっている」ということです。

 

頑張りすぎているので緩いところで「休まないといけなくなる」わけですね。

 

勾配のキツイところでも自分が出すべきパワーで走っていれば、勾配の緩いところでも自分が出すべきパワーで走れます。「パワーは一定」を守っていれば、ずーっと同じパワーで走れるわけです。

 

このように、パワーの小さい人は「より軽いギア」が必要だし、パワーの大きい人は「より重いギア」が選択できるということですね。出せるスピードが違うのでそうなります。