寒波やって来ましたねぇ。
普段はほとんど降らない雪がチラホラしてました。
どうも、おっさんです。
ショップ運営されている方のブログで興味深い実験をされていたので、今日はそれについて書いてみます。
それは、これからロードバイクを始めるという未経験者にFTP(60分間継続可能パワー)計測をしてもらうという実験です。被験者は20代の男性です。結果は…
「100w」
ということでした。
サンプルは1人だけなので、未経験者がFTP計測したら必ず100wになるということではないですが、この数値はおおよそ間違いのない数値だと思います。というのも、この100wで平坦を走るとすると風や路面の状況にもよりますが、ロードバイクに慣れたら(トレーニング無しで)出せるようになる速度の25~28km/hになるからです。
慣れたら出せるようになる速度ならパワーが上がってるのでは?と思うかもしれませんが、この場合の慣れるというのは、その「100ワット」をある程度有効に使えるようになるということです。パワーは「100ワット」出せるとしても、それを自転車を走らせることに使えるようにならないと無駄になる部分が出てきます。なので、同じ「100ワット」でも25km/hしか出ない人もいれば、28km/h出せる人もいるわけなんですね。効率の話です。
あと、当たり前の話ですが、FTPが100wだとしても100w以上出せないということではなくて、もっと大きいパワーも出せます。出せるけどそれは長続きしないということです。FTPは60分間パワーなので、それより上のパワーを出す場合は出せるパワー値が上がるごとに短くなって行きます。逆に、100wより小さいパワーであれば60分以上出すことが可能なので小さいほど長時間使えるパワーになります。
パワーメーターなんて持ってないから自分のパワーはわからないという方はこちらのサイトで計算してみて下さい。
http://www.electricsheep.co.jp/hc/cruise.html
計算例ですが、私のデータで示してみます。
これはある平坦路でのデータです。
パワーは実測値の平均174wなので、そうなるように入力します。
これを上記のサイトに落とし込むと…
こうなります。
このデータの日の風速は東成分ありの南からの3m/sという具合でした。
データはほぼ西へ向かう工程なので、やや斜め後ろからの追い風1.5m/sとしています。
CdAはフォームによる空気抵抗値なのですが、上記の追い風値とするとこの値です。
なので、CdA値はより空気抵抗を下げられるフォームを維持できるか?がカギになります。
ちなみに、自然界で「無風」というのはほぼないので、向かい風でない場合はほとんどの場合「追い風」になります。「向かい風」は感じやすいですが「追い風」は感じ辛いので、ロードバイクに乗り始めたばかりの人はその辺を勘違いしやすいので注意が必要になります。
で、私がこれと同じ状況で100wで走るとすると「27.8km/h」になります。
が、私が「27.8km/h」で走る場合は上体を起こしているので、CdA値を「0.4」に修正すると…
「26km/h」になりました。
という具合に数値の変動は結果にかなり影響します。
この話はこの辺にしといて…
ロードバイクに乗っている人のパワーってどんな感じなのか?という疑問。
こちらの方のブログ記事でわかります。
おそらく、素人も参加するヒルクライムレースでは最大規模の「富士ヒルクライム」の結果データを基にしたパワー値の分布です。パワーは体重が重いほど出やすくなるので、パワーを体重で割った「パワーウエイトレシオ(PWR)」での比較になります。
剛脚 4.5w/kg~ 1.7%
優脚 4.0~4.5w/kg 4.7%
良脚 3.5~4.0w/kg 12.0%
並脚 3.0~3.5w/kg 24.0%
低脚 2.5~3.0w/kg 28.9%
貧脚 ~2.5w/kg 28.7%
ということになっています。
(サンプルが少し古いデータなので現在はもっと上がっているようですが…)
私はローラー台を持ってないのでFTP計測はしたことないですが推定で180wです。
推定値ですが一応根拠のある数値なのでこの180wで説明すると、私のPWRは…
3.21w/kg(体重56kg計算)
ということになります。
上のデータで見ると「並脚」になっています。
この「並脚」ですが、レースレベルで言うと「普通」ということですね。
一般男性の100wは、例えば体重60kgだとすると…
1.66w/kg
私と同じ56kgだったら「1.78w/kg」ですね。
富士ヒルクライムでは推定1.70w/kgの人のタイムが2時間50分48秒。
私と同じ推定3.21w/kgの人のタイムが1時間31分18秒。
と算出されています。
富士ヒルクライムはタイムによって「ゴールド(65分)」「シルバー(75分)」「ブロンズ(90分)」という称号をもらえるのですが、私の実力ではギリギリ「ブロンズ」に届かないですね。ただ、推定PWRでのタイムなので今のパワーでも「ブロンズ」もらえる可能性はあります。ま、富士ヒルクライムには出ないので永遠にもらえないですけど(笑)。
体重60kgでFTP100w(PWR1.66w/kg)の人が60分ヒルクライムする場合の数値を
http://www.electricsheep.co.jp/hc/index.html
こちらで計算してみます。
まず、ギアとケイデンスを決めます。
ケイデンスはヒルクライムでしんどくならないラインの70rpm。(個人差アリ)
ギアは初心者向けにフロント34Tリア32Tに設定。
そのギア比とケイデンス70rpmの場合、60分間で進める距離は9.3km。
その距離を出力100wで登る場合の標高差は460mになり、平均勾配は4.9%となりました。
100wの人が34T×32Tで1時間登る場合は平均勾配4.9%が目安になるということです。
同じ内容の計算で、今度は150w(PWR2.5w/kg)の人が1時間登る場合は標高差が720mになって平均勾配7.7%となります。当たり前ですが、パワーが上がることによって体が許容できる勾配も上がっていくんですね。
この計算はFTPに基いたものなので、60分間めいいっぱい登ったらこうなるよっていう数値です。でも、普段のライドではそこまで追い込みませんよね?なので、ロングランで使えるFTPの75%程度までで計算すると普段のライドでどの程度の勾配なら許容できるか?が推測できます。
FTP100wの場合の75%は75wなので、75wになるように計算すると平均勾配は3.5%になります。
つまり、初心者の人は34T×32Tのケイデンス70rpmならば、平均3.5%程度の勾配であればロングランに適した強度でクリアできるということですね。もちろん、75w以上出せばそれ以上の勾配も登れますが、そこでパワーを使ってしまったら後々シワ寄せがくるということになります。峠を含めてロングライドする素人サイクリストは、勾配のキツイ峠でパワーを使って、往路はともかく復路の平坦ではヘロヘロになってる人が多いんじゃないかな?と思います。
平均勾配3.5%って関東では初心者向けとされている「都民の森」のようなヒルクライムです。が、都民の森は行程20km程度あるので走り切るのに計算上2時間以上かかります。初心者は2時間もずっと休みなしで登るのはキツイでしょう。しかも、最後の4km程度の平均勾配が高いので、序盤から中盤の緩い勾配で頑張りすぎると最後まで持たないでしょうね。実際にSTRAVAでデータを見てみると、2時間程度以上かかっている人はほとんど途中で休憩しています。
ということを考えると、パワーをある程度は上げて行かないと、峠を含んだライドでは余裕がなくなることが多くなり、「楽しく」ライドすることが難しくなるということです。平坦だけなら単にゆっくり走ればいいだけなんですが、登りはある程度のパワーが必要になってくるので、脚力があるに越したことはないんですよね。
以上のことから、一般人の100w程度ではある程度の勾配の峠を含んだロングライドは、ちょっと難しいということがわかると思います。
一般の週一サイクリストで「みんなこんなもんでしょ?」と、大した練習もせずにロングライドしてもそりゃ「しんどい」という話ですよね。