どうも、おっさんです。
今回は、2台目のロードバイクをゼロから組み立てたことと、1台目のロードバイクをオーバーホール(バラシてクリーニングして再組み立て)してみて感じたことを書いてみたいと思います。
私はロードバイクに乗り始めてから2年経ってない素人で、2台目のロードバイクを導入するにあたってまっさらなフレームから必要なパーツや工具を用意して組み上げ、1台目のロードバイクは分解して整備して再組み上げまで行いました。
新たにパーツを調達して組み立てた2台目のリドレーフェニックス
1万キロ乗ったのでバラシてクリーニングして再組み立てした1台目のアンカーRNC3
よく耳にするのが「安全性を担保するなら自分でやらずにプロに任せる」ということなんですが、やっぱり私もそう思います。ロードバイクは速度もある程度出ますし、乗っている自分の安全をその車体に預けていることになります。その車体が走っている最中に不具合を起こして事故になってしまったら…?ということを考えてもプロに任せるのが一番ですよね。
アマチュア参加の草レースなんかでも車検があって車体の具合をチェックされるそうなんですが、結構な割合でダメな部分が散見されるそうです。その他の場面でもプロから見てだいたい二割程度はちゃんとした整備が出来ているけれど、残りの八割はどこかしらダメな部分があるという話でした。
ということから、基本的には整備は自分でやらないで、プロに任せるのが安全安心だと思います。
そんななかで、私が整備や組み立てを自分でするのは「それが好きだから」です。
よくある「工賃を節約するため」とかではありません。
ていうか、自分で整備する理由が「お金の節約」だったらやめた方がいいですよ…。
1. ロードバイクの自己整備を経験する
まず、私は1台目のロードバイクをネットで購入したので、整備や調整は自分でやるということが前提でした。なので、購入してからのポジションの調整やパーツや消耗品の交換等は自分でやるしかありません。
初めにやったのはサドル高の調整です。
「シートポストを固定しているボルトを緩めてサドルの高さを調整してボルトを締める」
たったこれだけのことなんですが、知識がないと「失敗」する場合があります。
知識がないとその固定するボルトを締め付ける強さがわからないんですね。
なので、締め付けが足りずに走ってるうちにずり落ちてしまったりします。
私はずり落ちた経験はありませんが。
次にやったのがペダル・チェーン・スプロケの交換。
チェーンとスプロケは交換後の問題はありませんでしたが、走っているうちにBB・クランクあたりから異音が発生。ペダリングの度に「カチッカチッ」と音がするように…。ペダルを点検するとほんの少しだけ緩んでいました。使っているシマノPD-A520はペダルレンチで締めるタイプなので、はじめは締め加減がわからなかったのですが、思っているよりかなり強めに締めないといけないことがこの経験でわかりました。これで異音は解消。
次がステムの交換。
このあたりになると、どうしても必要な工具があります。
トルクレンチですね。
私はトピークの簡易型トルクレンチを買いました。
ComboTorq Wrench & Bit Set [ コンボトルク レンチ & ビット セット ] / TOPEAK トピーク
あ、シートポストの調整の時点でこれ使ってます(笑)。
これ、比較的安いんですがちゃんと使えますよ。
その次が、ブレーキとホイールの交換。
ここでトピークの簡易型トルクレンチの弱点が発覚。
形状的にリアブレーキの固定トルクを測ることができません(笑)。
なので、フロントの固定トルクを参考に手締めで対処しました。
というように、パーツや消耗品の交換を段階的に行ってきました。
2. 整備経験を積んでから2台目のロードバイク組み立て
私のような素人と百戦錬磨のプロとでは当たり前に技術力が違います。経験数が天と地ほど違うのでどう頑張っても勝てません。ただ、パーツの取り付け等に関する知識は、取り扱い説明書やネットの情報を参考にすればある程度は手に入れられます。(ネットの情報はそれが正しいのかどうか判断する能力も必要ですが…)
要は、「盛大に失敗しない程度の知識」は理解する能力があれば手に入れられるということです。
プロの場合は失敗しないことは「当たり前」で、それプラス素人の知りえない素人が出来ない作業調整をするというのが求められているのです(当たり前のことも出来ないのはプロとは言えませんよね?)。素人の場合は失敗しない間違えないという「当たり前」が出来るか出来ないかということが分かれ目です。
で、1台目の整備を進めてきて経験を積んだ後に、2台目を自分で組み立てることにしたわけなんですが、私は素人なので、まず「失敗する」可能性があるということを前提にした考えをもって作業にあたることにしました。
「失敗する」可能性が高いのは、今までにやったことがない作業です。
基本的にはパーツの取り付け(コンポ含む)はボルトを指定トルクで締めるだけなので良いとして、それ以外はプレスフィットBBやヘッドパーツの組み付けとカーボンコラム周辺のトルク管理。それと、最大の心配は「カーボンコラムカット」です。
ロードバイクの組み立てでネット情報を見てみると、大抵の人がヘッドパーツの組み付けやコラムカットで必要になる専用工具を「自作」で代用しています。まぁ、それも工夫して工具の費用を減らすことになるので良いのかもしれませんが、私は「失敗する」可能性があるということを前提に考えているので、そういう代用工具を使うのは避けてちゃんとした専用工具を揃えました。
SG-7.2 オーバーサイズ切断ガイド 【HOZAN】 ホーザン株式会社
コラムカットは上記のパークツールの専用工具で行いました。最終的に切断する箇所の見極めはちゃんとした知識がないとできません。失敗するとフォークがちゃんと固定できないですし、短く切り過ぎるとそれでもう終わり後戻りできません。試し切りを数回してから最終的な長さで切断しました。私は、ステム下に5mmとステム上に10mmのスペーサーを入れて固定しています。(リドレーの公式サイトに載ってるロードバイクはほぼこの設定だったのと自分のポジションが大体ここだったからです)
ヘッドパーツもフォークにセットする下玉受けを専用工具で圧入する必要があるんですが、リドレーフェニックスに付属するヘッドパーツはその玉受けに割りが入っているタイプだったので、手で簡単に圧入できて専用工具はいりませんでした。
フェニックスのBBはPF30という規格で、プレスフィット(圧入)タイプなのでPF30用のBBとそれを圧入する工具が必要ですが、私はトーケンのNinjaというシリーズで左右のパーツを中のネジで連結するタイプのものを使いました。なので、圧入の工具は必要ありませんがNinja専用の工具が必要で、それを使っています。ちなみに、その専用工具を入手するために地元のショップに取り寄せをお願いしたのですが、そのショップではトーケンのNinjaは組み付けたことがないとのことでした。
THREAD FIT TYPE-Ninja BB | TOKEN | Lineup:取扱いブランド | 東商会
このフレーム内で連結するタイプのプレスフィットBBは元々「ウィッシュボーン」というブランドの製品が初出でしたが、今はこのトーケンとかスギノのセラミックBBも同じような製品を出しています。
私がこのトーケンのNinjaを選んだのはセラミックタイプじゃなくて普通のベアリングタイプがあって安かった(笑)のと、圧入部分が樹脂製になっていてフレームに対する攻撃性が低いと思ったからです。あと、ウィッシュボーンやスギノの製品と比べてみると連結部分の噛み合う面積が大きくて比較して剛性が高そうなのと、噛み合う面積が大きいので噛み合わせ時の始まりが早くねじ込んでのフレームへの組み込みがやりやすい(これは実際にやってみないとわからないことかも)んですね。
無事に組み立てが終わってちゃんと走らせることができてもそれで終わりではありません。
各パーツを指定トルクで組み付けていても振動で緩んでくることがあります(もちろん指定トルクで組み付けていない場合はさらに緩みやすいです)。なので、走行毎に緩んでいないかチェックします。が、指定トルクで組み付けていれば私の場合は緩むことはありませんでした。よく、走行中にクランクがとれたとか聞きますが、それちゃんと組み付けられていないだけですよね?
今回、緩むこと前提で組み付けた部分があります。
カーボンコラム周辺ですね。
カーボンコラムは初めて扱うので、周辺パーツをどの位のトルクで組み付けたら良いのかわかりません。もちろん指定のトルクがあるのですが、カーボンの場合は緩まない程度のトルクで組み付けるのが最善です。そのトルクを探る為に初めは弱めで組みました。なので、走ってたら緩んできます。緩んできたら前回よりトルクを上げて組んで、また走って緩んだらまた前回よりトルクを上げて…を繰り返して今も様子見していますが最近はもう緩む気配がなくなりました。
こういう部分もプロだったら一発で最適なトルクで組み上げちゃうんでしょうね。
経験の浅い素人は試行錯誤を繰り返します。
他にもBBから「ギシギシ」異音がして、色々と試してみたら左クランクのキャップ(クランク取付ボルト)を締めすぎでした。このキャップを締めるシマノの専用工具があるんですが指定トルクが書いてあるのに、その専用工具だけではトルクを測る術がないんです(トルクレンチに付けられるモンキーがあれば可能)。締めすぎって言ってもおもいっきり締め付けてたわけじゃなくて、加減がさっぱりわかりません。色々と調べてみたらトルクレンチで使える工具を発見しました。
これ本来はシマノのBBを組み付ける工具なんですが、先端にクランクキャップを締める部分があるんです。これをトルクレンチにセットして使えばトルクを測れます。指定トルクは0.7Nm~1.5Nmで、1.0Nmで組み付ければギシギシ音は消えました。
トピークの簡易型も便利ですが、メインのトルクレンチはSK11のデジタルタイプを使っています。
www.fujiwarasangyo-markeweb2.com
これもそこそこの値段がします。
工具を揃えていくと「工賃をケチる」っていう選択肢は間違いだと気付きます(笑)。
揃えた工具代の元をとるなら1~2回程度の使用じゃダメですからね。
3. 1台目のオーバーホール
2台目の調整も落ち着いて、やっと1台目のオーバーホールに取り掛かったのが先月。
本来なら先にオーバーホールでそれから2台目の組み立てが順序ですね(笑)。
でも、オーバーホールも丁寧にやりたかったのでその間に乗る2台目が必要でした。
1台目はバラシてクリーニングして再組み立てなので、ゼロからやった2台目よりは手間がかからない(コラムカットもしなくていいし)のですが、こっちは機械式のコンポ(2台目は電動)なのでやっぱりシフトケーブルの取り回し作業だけ少し手間になっちゃいます。あと、ブレーキケーブルの交換はしたことがありますが、シフトケーブルの交換は初めてです。
RNC3はネットで買ったと言っても実店舗もあるそこそこ知られたお店から買ったので、きちんと調整されて届いたわけでおかしなところはありませんでした。…と当時は思っていましたが……
シフトケーブルの初期伸びがあるしスプロケの交換等もしたので、自分でシフト調整をその都度やり直すのですが、調整してもどうにも微妙に決まらない部分が出てきたのです。基本はシマノのマニュアル通りにシフト調整をしているのですが、フロントディレイラーの取り付け自体がそのマニュアル通りでない部分がありました。
フロントディレイラーは、ガイドプレートがチェーンリングと並行になるように取り付けるのがセオリーですが、プレート後ろ側が若干外向きになっているのです。あと、ガイドプレートとチェーンリングとの隙間は1~3mmが基本ですが、ここもそれより若干広めに取り付けられています。単に「取り付けミス」ということも考えられますが、これはおそらくトリム操作なしでもインナートップやアウターローで、チェーンがガイドプレートに擦れにくいようにしているのではないかと。「プロしかできない調整」というやつですね。
でもですね、この調整がされていると逆にトリムを使うことを前提とした「普通の調整」がやりにくくなります。そもそも私はフロントアウターの場合はロー側2枚、フロントインナーの場合はトップ側2枚、それぞれトリム操作の必要なギアは使わないようにしています。なので、私には必要のない調整ということなんですね。たすき掛けギアをもし使うとしてもちゃんとトリム操作するので…。
で、自分ではセオリー通りにフロントディレイラーを取り付けて変速調整をしてみましたが、あっけないほどにバッチリ変速できますし、前に言っていた15T以上を踏んだ時にチェーンがガイドプレートに接触しやすくなるという現象もなくなりました。あと、BB下のケーブルガイドを反ドライブ側へずらして固定して、フロントディレイラーへのケーブルラインの角度を付けてみたら、アウターへ上げるシフト操作が軽くなりました。それと同時に、ディレイラーへケーブルを固定する部分の道筋を調整するコンバーターがあるんですが、オンとオフ位置があってオフ側へ変更。ていうか、納車時のケーブルラインでもコンバーターはオフ位置のはずなんですが、何故オン位置になっているのか…?これはミスですかね。まぁ、当時R3000ソラは出たばかりだったからプロと言えどもノウハウがなく間違えることもあるのかも?
4. ロードバイクの組み立て整備を自分でするということ
自分でやるかどうかで、結論を初めに言ってしまうと
「自分のした整備に自分で責任を持てるかどうか?」
ということですね。
例えば、ネット上で素人がロードバイクを整備したり組み立てたりすることに対して「もし自信がないならショップに持って行って点検してもらえばいい」という意見があったりします。
私はこの意見には反対です。
最終点検をショップに頼むなら、初めから組み立てや整備をショップに頼んで下さい。
ショップ側も素人が組んだり整備したロードバイクを持ってこられても困ると思いますよ。もし点検するにしても、ちゃんとしたショップメカニックであれば「一旦バラシてみないとわからない」と言うと思います。逆にそう言わないショップは要注意ですが…。
素人の整備で、最低条件を設けるとすれば「トルクレンチ」ですかね。
もちろん、それだけでOKというわけじゃないですか…。
トルク管理は大切です。少なくとも、メーカーの指定トルクで管理されているパーツであれば意図せず取れたり不具合が起きることは少ないです。これは基本中の基本なので、組み立て整備でトルクレンチを使わないなんてことはありえません。
あとは、パーツ等の構造がどうしてそうなっているかということがある程度は理解できるか?ということ。
YouTubeなんかで「ロードバイク組み立て」とかのタイトルで動画を上げている人がいますが、結構な割合でパーツの組み付け方を間違えている場合があります。多いのは、クランクの取り付け方。左クランク本体のボルトを締めて固定してからクランクキャップを締めている人が多すぎです。正しくはクランクキャップを締めてから、クランク本体のボルトを締めて固定するという順序です。これも、どうしてそういう順序そして構造なのかを理解できていれば間違えることなんてありません。クランクキャップはただのキャップ(蓋)ではないんですよ。そして、そういう間違いをやっている人はトルクレンチなんて持ってません。
トルクレンチを使うという基本を当たり前にできるかどうかと、組み付けマニュアルを読んでどうしてその順序なのかパーツ構造なのかということがある程度理解できるのであれば、組み立てや整備をする素養はあると思います。最低限、そういう人であれば「自分の整備に自分で責任を持てる人」だと私は思います。